寝台列車の歴史

ブルートレインとして親しまれてきた夜行寝台特急列車が相次ぎ廃止してきているのです。その一方、車中で一流ホテルのようなサービスを楽しみながら観光地を回れる豪華寝台列車「クルーズトレイン」が注目されています。2013年秋に運行を開始したJR九州の豪華寝台列車「ななつ星」に続き、JR東日本とJR西日本も豪華寝台列車の運行計画を発表しました。これからの主流は豪華寝台列車になるのではないでしょうか。ここでは寝台列車の歴史を紐解いていきましょう。

寝台列車の始まり

寝台列車の誕生は、世界では19世紀初頭までさかのぼります。1838年にアメリカのペンシルベニア州で寝台列車の運行が最初です。1867年に設立されたプルマン社は居住性の高い客車や食堂車、寝台車を開発しイギリスでも運転が始まりました。欧州大陸での寝台列車の先駆けとされているのは、1872年ベルギーで発足した国際寝台列車です。豪華な個室や食堂車を完備した列車が欧州各国を周り、中でも西欧とバルカン半島を結んだ「オリエント急行」は世界的な名声を博しました。

日本では、1900年に山陽鉄道の神戸から三田尻(現.防府)間の急行列車に初めて導入されました。これは喫煙室や扇風機も備えた豪華な一等寝台車です。料金が安い寝台車が登場したのは、1931年、国鉄の東海道本線の東京から神戸間に連結をしています。三等寝台列車の拡大で、一般庶民も快適な長距離列車の旅を楽しめるようになったのです。

寝台列車のブーム到来

戦後の高度経済成長期で、ビジネスや観光目的のため長距離移動の需要が急増、これに伴い寝台列車も急速に増えました。1956年に初の寝台特急「あさかぜ」が東京から博多間で運行を始めたのです。1958年には、寝台特急のために開発した客車200系があさかぜに採用され、この車体が青系統の色であったため、寝台特急は「ブルートレイン」の愛称で呼ばれるようになります。長距離移動の手段が少ない当時、夜間で眠れて、翌朝には目的地に着く寝台列車は効率的な移動方法として支持を得られたのです。需要の拡大とともに、主要幹線の特急列車や長距離急行列車に次々と寝台列車が導入されました。70年代から80年代には、ブルートレインの新型車両を周知するため国鉄が行ったキャンペーンで、いわゆる「ブルトレブーム」が起こります。

鉄道ファンの人気上昇とは逆に、70年代ごろから寝台列車の需要は曇りを見せてきます。新幹線や飛行機、高速バスといった他の交通機関の普及により、利用客が減ってしまったのです。これに加え、87年の国鉄の文割民営化で誕生したJR各社は今まで以上に効率経営を求められました。利用客が減少し採算が取りにくくなり、寝台列車は2000年代以降、次々と廃止されたのです。

移動手段ではなく移動時間を楽しむものへ

寝台列車は長距離手段としては競争力を失う一方、IR各社は80年代以降、列車による旅行そのものを楽しむコンセプトで、豪華な設備ときめ細かいサービスを提供するものを投入しています。その先駆けは1988年3月に青函トンネル開業に合わせ生まれた、上野から札幌間を結ぶ「北斗星」です。コース料理が味わえるのを始め、豪華な個室でくつろげることから、これまでにない豪華な寝台列車として脚光を浴びました。今や寝台列車は、高級ホテルと思わせる内装や高水準のサービスに移り変わっていったのです。