昔からキスにもイロイロあった!?

一口に「キス」といっても、方法は一種類ではありません。性交の体位に「四十八手」があるのと同じように、口づけの方法にもいくつかあります。軽く「チュッ」と合わせるだけのもの、唇同士を強くくっつけるもの、舌で唇をなめ回すもの、絡めあうもの、互いの舌を吸いあうもの、唇や舌を噛むものなどなど豊富なパターンがあります。

こうした手法は近代の発明ではありません。大昔から人々の間で自然に発見・開発されてきたもので、恋人同士が互いに対する愛情表現として工夫してきたものです。口から頬へ、耳たぶへ、首筋へと展開し、乳房へアナルへヴァギナヘと移り興奮を高めていきます。キスがなければ愛撫もない、といっても良いでしょう。キスはセックスの基本です。これなしでは、性生活はうまくいきません。寝台列車での旅では、夫婦が「キスする関係」を取り戻しましょう。口づけ上手が、セックス上手の始まりです。

フレンチ・キスはフランスのものじゃない!?

わが国におけるフランスという国のイメージが変化したのでしょうか、最近は「フレンチ・キス」という言葉の意味を取り違える人が多いそうです。もともとは、舌と舌とをねっとり絡ませあう、いわゆる「ディープ・キス」のことを指していますが、唇を軽く合わせるだけの挨拶のようなものを指すと勘違いしている人もいるのだとか。

フランスといえば、昔は開放的なセックスのイメージで、特に女性が大胆だと思われていました。それが、近年は「あっさり」に変わってきているのかも知れません。いずれにしても、「フレンチ・キス」はフランス発祥というわけでもなく、一般的な英語では「ディープ・キス」といいます。フランスの俗語では、「フィレンツェ・キス」と呼ぶそうで、フランス人はイタリアを「奔放なセックスの国」と感じているのでしょう。

かつては、フランスもイタリアもポルノ映画の大国でした。作り方が上手で、単に「やりまくり」のエロだけでなく、「青春」や「女性へのあこがれ」などを描いたり、「映像美」にこったりして、エロ映画ではないフリをした作品を数多く作り上げました。「課外授業」や「エマニュエル夫人」などは、現在でも人気のある作品です。映画が廃れると共にフランスの印象も変わったのかもしれません。

平安時代にはフレンチ・キスが普通だった!?

キスのことを平安時代には「口吸う」といいましたが、言葉の成り立ちからディープなキスをしていたものと考えられるでしょう。互いに口を「吸う」ことで、舌は自然とからみあいます。それが、一般的な接吻の形だったのでしょうから、ディープ・キスは「平安キス」と呼んでも良いのかも知れません。

江戸時代には、「口吸う」「口吸い」の他、「口口」(くちぐち)、「口寄せ」、「呂の字」(口をふたつ重ねたから)などとも呼ばれたそうです。まぐろの刺身を重ねたようにも見えることから「刺身」ともいいました。ディープなキスについては、「舌吸い」「口ねぶり」と呼びました。ねっとり感あふれる表現です。艶本(エロ本)では、「口中のちぎり」ということもあったそうです。「ちぎり」とはヴァギナにペニスを挿入することですので、キスをセックスの前哨戦ととらえていたのでしょう。現代も使われる「口づけ」というのは、明治時代に作られた言葉です。

キスにも色んな表現が使われてきました。表現の種類だけ、愛情の表し方があったとも考えられます。寝台列車では、どのキスで愛を深めますか?