熟年のための接吻講座

妻もしくは夫とのファーストキスを覚えていますか? それは、どんなものだったでしょうか? 最近の若者たちの中には、ファーストキスがヴァギナにだったとか、セックスの方が早かったというカップルもいるそうですが、昔はそんなことはありませんでした。恋人同士のとても大切な第一歩であり、愛あればこその行為です。

日本では明治時代以降「接吻」とか「口づけ」と呼ばれるようになったそうですが、いつ頃からされるようになったのかは定かではありません。わが国の文献では平安時代に最も古い記述がありますが、古代エジプトや古代ギリシアでは、紀元前に行われていた記録があります。サルの仲間の中にはキスをする種もあるそうですので、恐らく人類も大昔から行ってきたのでしょう。愛の伝達方法として本能的なものなのかも知れません。

熟年カップルが寝台列車で旅をする際には、この「接吻」を大事にしましょう。「キスなんて、もう10年以上してないよ」という人も、多くはありません。ぜひ旅先のロマンチックな雰囲気を利用して、久しぶりの接吻で愛とセックスを取り戻しましょう。

日本人は「口吸い」を大切にしてきた!?

わが国に残る最も古いキスに関する記述は、平安時代に紀貫之が著したとされる「土佐日記」にあります。「船上の正月」の段に、「元日、なほ同じ泊なり」(正月になったけど、昨日までと同じように船の上で寝泊まりしているだけだ) とあり、「ただ押鮎の口をのみぞ吸ふ。この吸ふ人々の口を押鮎もし思ふやうあらむや」とあります。

正月だというのに船の上では大した食べ物もなく、セックスどころかキスする相手もいないので、押し鮎(アユの塩漬け)を恋人だと思ってキスしてみたけど、鮎の方でも愛しいと思ってくれてるかなぁ、というような意味でしょう。

この時代、キスのことを「口吸い」と言いました。現代語の「口づけ」と同じことですが、「吸う」と「付ける」の違いがあります。恐らく、平安の人々のキスは「ディープ」だったのでしょう。口先を尖らせてくっつけ、舌を吸い合うようなものだったに違いありません。かなりエロチックで興奮を誘ったはずです。昔から、わが国の人々は接吻を大切にしてきました。それが、親愛の証しでもあり、大切な前戯でもあったからでしょう。

セックスレスの解消の第一歩は接吻!?

セックスレスが社会問題化していますが、熟年カップルにおいては特に深刻なテーマです。離婚の最大要因は性生活がうまくいかないこと。これからもずっと「円満夫婦」であり続けるためには、セックスが重要なポイントとなります。しばらく「ごぶさた」の夫婦が、「これからは毎日しよう」とは簡単にはなりせん。付き合いはじめたばかりの頃のように、一歩ずつ性のステップを踏み直す必要があるのです。

そのファーストステップが「接吻」です。「セックスはしていないけど、キスはしている」というカップルはいません。キスはセックスのための入口です。夫婦生活を復活させるためには、まずは「キス」をしなければなりません。「今さら、恥ずかしくてキスなんてできない」と思うのは当たり前。いつもと同じシチュエーションではなかなかきっかけをつかめないものです。

そのために、寝台列車での旅が役立ちます。普段とは異なる状況、密室で二人きり。すぐ近くには他人が寝ているという緊張感も、興奮を高めることでしょう。